流れ星スペシャル
ん~。
キッレキレのトシさんの、実は繊細且つ心優しい気配りを、この人はどこまでわかってるんやろう……?
ちらりと目を遣ると、店長はボクのすぐそばで、アズちゃんを呼び止めたところだった。
「沢井さんありがとう。もうあがって下さい」
なんてやっている。
「スゴイな。沢井さんが来てくれて助かったって、みんな喜んでました。ほんでいつのまにか『アズ』とか呼ばれてるし、ビックリした」
素直な感想を述べられて、アズちゃんは恥ずかしそうに笑う。
「へへ、案外楽しかったですよ。みんな親切にしてくれて……。あの子ちょっと恐いけど」
「トシくんですか? ボクの先生です」
店長はにっこりと笑った。
それから持ち帰り用のセットを、アズちゃんに手渡す。
「これ、家で食べて下さい。あ、上に乗ってる目玉焼きはボクが焼きました」
「ええっ、桂木さん、そんなん出来るの?」
アズちゃんが目をまぁるくする。
「いや…、初めて作った」
店長は照れ臭そうに、そう笑った。
ふ~ん。
流れ星の夜はまだ続く。