流れ星スペシャル


「社長によく聞かれたよ。『最近店に行ってもおらんねんけど、安西クン辞めたん?』って」

「え?」

「お給料出てるから辞めてませんよって言ったら、社長ホッとしてた」


「なんで……オレ?」


社長はやっぱりオレのこと知っていてくれたんやろか……。


「一番出来る子なんやって言うてはったよ。安西クンが仕事してるとこ見るの好きやねんて」

「……」


一瞬、言葉が返せなかった。
たぶん今、顔が赤くなっている。なんでかわからんけど。

あ、いや、単純にうれしかったんやけどな。

そんなオレの様子を見て、アズはにっこりと微笑んだ。


「やっぱトシくんが安西クンやったんか」

「オレ……まともに話したことないんやけど、社長とは」

と、打ち明けてみる。


「うん。若い子つかまえて熱く語ったら嫌われますよって言うてある。社長はすぐに延々と夢を語るから」


へ?


「いや、ええのに、語ってくれて」

「そ~お? 長いよ、社長の話。結局社長は、富樫さんにもその前の店長にも、煙たがられてたんやろな」

とアズはつぶやいた。


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