流れ星スペシャル
「そっか……そうやよね。ごめんなさい、気づかんかった」
「だから明日はもうええわ。本部の人、厳しそうやし」
ここで自分が曖昧にして、アズが明日本部の人に注意されたりしたら、それこそ申し訳ない。
それなのにアズはすっかり気にしてしまった様子。
さっきまであいつの目玉焼きに、あんなにはしゃいでいたのに。
「わたしのせいで不快になったお客さんいたかも……」
なんて、しょんぼりとヘコんでいる。
「いや、今日はアズが来てくれて、ほんまに助かったんやで。アズがいなかったら、お客さん待たせて、もっと怒らせてたんやから」
なんかちょっと必死になって言ってしまった。
その必死ぶりに、アズは少し目を丸くして、
「ありがと」って笑う。
いや……。
「じゃ、着替えるね」
それからアズは明るくそう言うと、カーテンで仕切られた向こう側へと入っていった。
オレのすぐ横にある着替え用の狭~いスペース。
「今日は、あ、ありがとう」
閉じていくカーテンに向かって、やっとそう言えた。
それはやっぱ、こっちのセリフやもんな。