流れ星スペシャル


「よ、よろしくお願いします」


ぎこちなくペコリと頭を下げたあいつに、ギャルたちは大いに盛りあがる。


「可愛いーっ」

「新人さん、いつから働いてるん?」

「きょ、今日です」

「へぇ、じゃーまだ慣れてないねんなぁ」

「全然です。ヘマばっかです」


謙遜じゃなくて、本当のことをやつは照れくさそうに話した。


「お皿割ったりする?」

「めっさ割りました」

「あかんやん、店長さんに怒られるん?」

「えっ。ええ、まぁ、」


プ。まさか自分が店長だとは言えんか。


あとはあんま聞いてなかったけど、散々いじられて戻ってきたおっさんは、緊張した面持ちのままオレに告げた。


「ビ、ビールです。生中3つです」

「はいよ」


それをPOSに打ち込み、それからオレはサーバーからのビールの入れ方をやつにレクチャーする。


「まずは冷えたジョッキを冷蔵庫から取り出す」

「はいっ」


言われたとおりにサーバー横のクーラーから、やつが中ジョッキを三つ取り出した。


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