流れ星スペシャル


最後の客を表まで送り出し、おっさんが最敬礼をしている。

オレも外へ出て、やつに並んだ。


それから提灯の電源を落とし、のれんを下げる。

やつに教えるようにして、据え置き型の電飾の看板も店内へと入れた。


さっきまで賑わっていたホールは静まり返っている。\\
あとは締めの作業を教えるだけ。


オレは洗い場に立ち、やつが下げてくる食器を洗った。

それから掃除。


「客席の鉄板、電源が切れてるか全部チェックしとけよ」

「あ、はい」


ふたりして黙々と作業を続ける。

そうして、ホールも厨房もほぼ片づいた頃、レジのところへおっさんを呼んだ。


「今からレジを締めて、売上をチェックする。明日からはあんたがやるねんで」

「はい」


教えたとおりに、やつが精算キーを叩くと、レジの画面に日計が表示された。


「ト、トシくん、今日の売上はどうですか?」


疲れただろうに、おっさんは前のめりに聞いてきた。


「うん。平日こんだけ上がったら、かなりええほう」

「ホントですか?」

と、やつはめっちゃうれしそう。


いや、あんた何にもやってへんから。


< 179 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop