流れ星スペシャル
最後の客を表まで送り出し、おっさんが最敬礼をしている。
オレも外へ出て、やつに並んだ。
それから提灯の電源を落とし、のれんを下げる。
やつに教えるようにして、据え置き型の電飾の看板も店内へと入れた。
さっきまで賑わっていたホールは静まり返っている。\\
あとは締めの作業を教えるだけ。
オレは洗い場に立ち、やつが下げてくる食器を洗った。
それから掃除。
「客席の鉄板、電源が切れてるか全部チェックしとけよ」
「あ、はい」
ふたりして黙々と作業を続ける。
そうして、ホールも厨房もほぼ片づいた頃、レジのところへおっさんを呼んだ。
「今からレジを締めて、売上をチェックする。明日からはあんたがやるねんで」
「はい」
教えたとおりに、やつが精算キーを叩くと、レジの画面に日計が表示された。
「ト、トシくん、今日の売上はどうですか?」
疲れただろうに、おっさんは前のめりに聞いてきた。
「うん。平日こんだけ上がったら、かなりええほう」
「ホントですか?」
と、やつはめっちゃうれしそう。
いや、あんた何にもやってへんから。