流れ星スペシャル


そんな訳だから、富樫さんはバイトくんたちから、どんどん慕われ、崇拝される。


まだ右も左もわからない大学生をたらし込んで自分の取り巻きを作り、その小さな輪の中で君臨している。


あ~あ、アホとちゃうか。


そう思うのが顔に出るんだろーな。


富樫さんが店長になってからこの一年、オレのシフトは削られる一方だった。


かと言って、勝ち誇った顔の富樫店長に『もっとシフトに入れて下さいよ~』なんてことは、口が裂けても言いたくないしな。




オレは人に媚びないから、嫌われる。


それが、中学卒業以来こっちに出てきてひとりでやって来たオレの、諦めに似た結論だった。


わかっていても、キライなヤツには尻尾ふられへんもん……。




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