流れ星スペシャル


「お客さんが多かったんですかね」

「うん、多いな。しかも客単もあがってる」


客単というのは客単価。ひとりのお客さんがどれだけ飲み食いしてくれたのかっていう平均金額。

画面には、いろいろと分析されたそんな数字が並んでいた。


「お代わりを聞いて回ったのもよかったんかも。ドリンクの数字が特に伸びてるから」


日計を見ながらそう言うと、横からおっさんがつぶやいた。


「トシくんってスゴイな……」

「へ?」

「普段から、売上の数字を把握しているってことでしょ」

「あー、まー…」


「自分が入ってないときのも?」

「事務室にそーゆーファイルがあるねん。日計レポートを貼っつけてあるやつ。オレいつもラストまでおらんし、それを見てるだけ」


「そのファイルを自分でチェックしてるってこと? 覚えるくらいに?」


質問を重ねながら、おっさんはオレの顔をまともに見てくる。


「まー」


照れくさくなって、ムスッとそう答えた。


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