流れ星スペシャル
翌日、昼過ぎには店入りして、オレは和モダンなボックス席に腰を下ろした。
横のシートにドサッと、ビジネスバッグを放り出す。
昨夜はこの店に泊まった。
どうせ電車もないんだからと、朝まであちこち掃除をして過ごした。
始発電車で帰宅しようかとも考えたが、9時には出社しなくてはいけないから、やめといた。
そのままスーツに着替えて、会社へ行き、引継ぎの続きを済ませ、こうして店へ戻ってきたところ。
13時には、本部からの研修指導者がやって来るらしい。
今のうちに食っとくか。
まだ時間があるので、鉄板の上に買ってきた新聞を広げ、パンを取り出した。
それをかじりながら、いつも通り経済面の隅々にまで目を通していく。
不思議と眠くない。
結局徹夜したんだし、まさかの事態に身も心も疲れているはずなのにな。
フー……。
オレは大きく息をついた。
それにしても、怒涛の一日だった。
なんせ昨日の朝は、いつもと変わらずに出社したんだもんな。
それが急きょ流れ星に着任し、飲食店で深夜まで働くという……。
缶コーヒーで喉を潤したとき、やっと小さなあくびが出た。