流れ星スペシャル
――
―――……
「おい」
………?
「おいっ、何寝てんねん、コラ」
「ん……?」
「ナメてんのか、お前っ」
ガツッと肩を叩かれて、目が覚めた。
いつのまにか熟睡してしまったらしい。
ボックス席の硬い背もたれから体を起こすと、見知らぬ男が、オレを憮然と見下ろしていた。
色黒で短髪、小柄で目つきの鋭い男。
「お前なんやねん。人を呼びつけといて、おのれは寝てんのか?」
本部の研修指導の人だ。
「あ、いやっ、すみません」
慌てて立ちあがり、オレは深々と頭を下げた。
「桂木慎一郎です。よろしくお願いします」
スーツのポケットから名刺を取り出し、名刺入れを台にして男に差し出す。
「あ? なんやねん、お前。サラリーマンか」
男の手にパシッとはたかれ、名刺はひらひらと床に落ちた。
「オレは西条や。西条ノボル。十号店で店長やってる」
「は、はいっ」
取りあえず名刺を拾おうと手を伸ばしたとき、男はガッと、靴で名刺を踏みしめた。
伸ばしたオレの指ごと踏みつけるぐらいの勢いで。
ヤバい……。相当怒らせてしまったようだ。
しかも、めっさ恐ろしげな人やん……。