流れ星スペシャル
「オレが今、どんな気持ちでここに立ってるか、わかるか?」
低~い声で、西条さんは聞いた。
「えっと……」
言葉を探していると、いきなりドゴッと足を蹴られる。
「お前なんぞに、わかってたまるかっ」
うわ……。
「オレの店はな、流れ星チェーンの中でも、トップ5に入る人気店や」
十号店店長、西条さんはそう言って胸を張った。
全国展開しているけれど、お好み焼き流れ星はそんなにメジャーなチェーンではない。
それでも関西を中心に50店舗ほどあって、うちのようなフランチャイズ店もあれば、本部が直接経営している直営店もある。
直営店は約30店。出来た順に番号がふられ、屋号につけられていた。
だから流れ星十号店は、10番目に出来た直営店で、確かアベノの繁華街に店を構えている。
「昨日の今日やぞ。いきなり上から研修しに行けって頼まれて、大事な大事な自分の店を放っぽり出して来とんねん。そしたら何? サラリーマンがすやすやお昼寝中や」
「はっ、すみません」