流れ星スペシャル
「なぁ、トシ」
閉店後、何の気まぐれか富樫さんがオレに話しかけてきた。
いつもなら、ラストオーダーを作り終えたら、追っ払うようにあがらせるのに、今日は閉店作業が終わるまで、何も言われなかった。
「お前、まだホストやってんねやろ?」
それが急に近づいて、そう聞いてくる。
「ええ、食うていけませんから」
こんなにシフトを削られたら、他のバイトをかけもちしなけりゃ生活できない。
イヤミのつもりで言ったのに、富樫店長は平気な顔で質問を続けた。
「やっぱ、身入りええんか?」
「そりゃホストですからね」
「給料の他に、チップとかもらえるん?」
「ええ、まぁ」
「指名料とかも入るんやろ?」
「まぁ、指名されれば」
「嫌なヤツとかいっぱいおる?」
「ええ」
あんたなんかマシな方やと言ってやりたかったがガマンした。