流れ星スペシャル
焼き直しを命じられ、桂木さんはお好み焼きの生地を混ぜ、鉄板にそれを流し落としていく。
おぼつかない手つき……。
「あほっ、混ぜてる時点でもうアウトや。こねくりまわし過ぎじゃ、ボケ」
ガツッと男はまた、蹴りを入れた。
「すみません」
ペコリと下げた頭をあげるとき、桂木さんがこっちを向いた。
「あっ、おはよう!」
え、結構元気な声。
「「お、おはようございます」」
3人してぞろぞろと、厨房へと歩いて行った。
「西条さん、うちのスタッフです! 紹介しますね」
あんな目に遭いながら、どうしてそんな顔ができるのか、桂木さんはやたら明るくオレらを紹介する。
「安西俊也。21です」
しゃーなし名乗って、軽く頭を下げた。
「漆原ユウ、18歳。専門学校に通ってます」
「大槻ユースケです。大学生です」
「ふ~ん、オレは西条や。十号店で店長やってる」
ふんぞり返って、で、オレらを品定めするように、ジロジロと眺める男。
「可哀想になぁ、お前ら。こんなどーしょーもないやつが店長なんてな」
西条さんはわざわざ、そんな言葉をオレらに吐いた。
「言っとくけどコイツ、オレが教えた中で一番へボいぞ。センスの欠片もない」
「はは、すんません。西条さん」
で、なぜかカラッと笑ってるやつ……。