流れ星スペシャル
そんな桂木さんを無視して、その西条って人はオレらの背後へと回った。
「髪…、肩についたらくくっとけよ」
小学生の衛生検査よろしく、頭髪のチェックをしているらしい。
「手、出せ」
それから前に回って、爪の検査。
「チッ」
どうやら全員合格だったらしく、西条さんは小さく舌打ちをした。
なんや、こいつ……。
「あー、練習用に食材使わせてもろたで。在庫見とけよ」
誰にともなくそいつは言った。
「それから客が入るまでは、ここで桂木の特訓続けるから」
と、今度はオレを見る。
「その後は、奥で発注と在庫管理についての講義やな」
と、やっぱ男はオレに向かってそう言った。
ん……?
えっ?
「営業中、奥にこもりっきりになるってことですか?」
「そうや、桂木には教えなあかんことがいーっぱいあるねん」
慌てて聞いたら、そいつは何だかうれしそうにニタリと笑った。