流れ星スペシャル
「いや、でも、ふたりして奥に行かれたら、スタッフが3人だけになりますけど?」
「そんなん知らんわ」
「いや、でもっ」
それは困る。
3人じゃ店を回せない。
無駄にデカい桂木さんでも、皿洗いはこなせるからな。
地味に戦力には、なっている
それを奥に連れていかれたら、少ない人数で洗い物までしなくちゃならない。
「店、手伝ってもらえませんか?」
単刀直入に聞いてみた。
「は? オレは研修しに来てんねん。なんで営業手伝わなあかんの? アホか」
言葉とは逆に、二ヤニヤと楽しげに笑う西条さんの目つきが引っ掛かかる。
普通じゃないやろ……。
この人、案外うちの店のこと知ってるんかもわからん。
桂木さんは確かにドンくさいし、イラつくのはわかるけど……。でも、それにしては悪意があり過ぎる。
わざと営業のじゃまをされているようにしか思えない。
だからって、恨みを買うような心当たり……ある?