流れ星スペシャル
そう考えていると、桂木さんと目が合った。
『今やで』
と、口の形で教えてやる。
『え?』
『今引っくり返せ』
右手でコテを引っくり返す真似をすると、桂木さんにも通じたらしく、彼はコテで、ダメ出され中のお好み焼きを引っくり返した。
「おーっ、3時間やって、初めてええタイミングで返せたな。これや、この色」
その焼き色を見て、西条さんがやっと少しだけ和んだ顔をした。
「スゴイな、俊クン。なんでわかるんですか?」
サササッと近づいてきて、桂木さんが小声でささやく。
「たくさんたくさん焼いたから!」
と、やっぱ小声で答えておいた、
うるるんとユースケと3人で、急いで事務所に着替えに入る。
「あの本部の人ムリ! バリ怖いやん」
うるるんは完全に怯えていた。
「蹴るとか……やり過ぎやんな、3時間もやってるんやろか、あれ」
ユースケもボソッとつぶやく。
「そんなことよりも、今日ヤバいんちゃう? 3人で店回すんやぞ」
オレはそのことで頭がいっぱいだった。