流れ星スペシャル


「大丈夫でしょ。店が大変そうやったら、見かねて助けてくれますって」


ユースケは案外楽観的に言う。


「いや、わざと手伝えへん気がする」


オレはそう思っていた。


「うちも、そう思う」と、うるるんもうなずく。


「だってあの西条って人、店長のこと、わざとイジメてるみたいやったもん。焼き方を質問しても無視やし。ちっとも教えてくれへんのに、出来なかったらボロクソ言うて蹴るなんて……。研修ってあんなもん?」


「うーん」


3人して不安な気持ちになってくる。



「ボクやったら泣くわ」

ユースケがポツンと言った。


「うちも」とうるるん。


「オレやったら殴って帰る」


オレがそうつぶやくと、ふたりは「確かに」と大きく大きくうなずいた。ム……。



「店長は、ペコペコしたりニコニコしたりしてたな」


ユースケが言った。


「うん。うちらにおはようって笑ってくれた」


今も、桂木さんを罵る怒声が、焼き場から聞こえてくる。


「また蹴られてるんかも……」


心配そうに、うるるんがつぶやいた。



ペコペコしたりニコニコしたりしながら、あいつは何を考えてるんやろう……?


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