流れ星スペシャル
そうして何事もなかったように、店は回転していく。
7時前にアズが来たので、それとなく聞いてみた。
「本部から何か連絡あった?」
「流れ星チェーンの本部? 別に何も」
「そっか。社長はまだ出張中?」
「ううん。今日の夕方の便で帰って来られたよ。でもすぐに商談があって出かけてしまって……。忙しいみたい」
「ふ~ん」
オレがそう答えたとき、調理台の隅で電話が鳴った。
レジ横に設置してある電話機の子機がそこにある。
「毎度ありがとうございます。流れ星で~す」
うるるんが電話に出た。
「は~い、少々お待ちください」
そう言って保留にすると、洗い場に立つ桂木さんを呼ぶ。
「店長、電話出れます? トコワカって人から」
トコワカ……?
え、社長やん。
「あ、社長か」
と、うるるんもつぶやいた。
タオルで手を拭き、差し出された子機をとる桂木さんの顔がこわばっている。
「はい、桂木です」
鉄板前でオレはユースケと顔を見合わせた。