流れ星スペシャル
月末の締日となる今日、そーゆーことを言ってくる人が必ずいると思っていた。
「今日中に精算しないと、この経費、今月の数字に載らんのやろ?」
「はい」
「うちの課、今月売上ええから落としておきたいねんな、これ」
中村課長は手にした領収証をひらひらさせて、へラッと笑った。
おそらく取引先と会食した際の飲食店のレシート。
個人で立て替えて支払った社用の会議費や交際費を、こうして経理に回して会社から出金してもらうんだ。
でも、そこでヘンな調整が入る。
自分の課の売上が悪い月には、経費の精算を出し控えておいて、売上が好調な月に一気に回してきたりするんだ。
だからこんなにギリギリになってから持って来たりする。
どーもお金ではなく、数字の問題。
課の営業成績、ひいては自分の出世に関わる大切な問題らしい。