流れ星スペシャル
「じゃー頼むわな」
そう言い残して、桂木さんはまた洗い場へと戻って行った。
「社長に呼び出されたとか、そういうことでしょうか」
ユースケがこっそりとささやく。
「うん。たぶんな」
「店長、ちゃんと弁明出来るかな……?」
不安げな声。
「大丈夫……。あの人はタヌキやからな。ニコニコペコペコしながら謝るの得意やん」
自分に言い聞かせるようにオレは言った。
うん。大丈夫や。
社長はきっとわかってくれる。
もし桂木さんをクビにするようなことがあれば、ユースケやみんなで、社長のところへ直談判に行こう。
ストだってなんだって、やれることは全部やる。
「それでダメなら、やっぱボクらでバイトに雇うしかないっスね」
冗談なのか本気なのか、もう一度そう言ってユースケが笑った。
そうして11時を過ぎる頃、桂木さんは店を出て行った。
客の入りは緩やかで、まずはアズ、それからうるるんをあげてからは、ユースケと二人で店を回す。