流れ星スペシャル


カウンターへ水を置きに来たユースケと、ふたりして息をのむ。


「流れ星チェーンの社長から電話があってな、えらいほめられたわ」


そう社長は続けた。


「えっ、ほめられたんですか?」

「うん。『ええ店や』って。研修指導の西条くんが言うてくれたらしい」

「さ、西条さんがっ?」

「うん。バイトの子がしっかりしてるから、わざわざ自分が研修する必要はないやろって、本部に進言したそうやで」


そんな……。


「西条くんが人をほめるん珍しいって、向こうの社長も喜んでくれたよ。
あれ? 桂木くんから聞いてへん? 電話で話したんやけどなぁ」

「あ、いえ、今日は忙しかったんで」


そう答えるのがやっとだった。


「富樫くんが急に辞めて、いろいろ大変やったろうけど、でも店のためにはかえってよかったのかもしれんなぁ」


うれしそうにしゃべり、笑い、オレの焼いたネギ焼きをペロリと平らげると、常若社長は満足そうに帰って行った。




「ユースケ、5分だけゴメン。ちょっと西条さんに電話してくる」


何がどーしてこーなったのか、その理由を聞いてみたい。


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