流れ星スペシャル


急いで事務所へ戻り、スマホを手にした。


ん?


すでに西条さんからの着信履歴が残っている。




「もしもし安西です。電話もらってたん気づかんくてすみません」


早速かけなおすと、西条さんはすぐに出てきた。



「お前なぁ、どないすんねん、あの男」


低い声がいきなり言う。


「お前は知らんやろうけど、オレ、あいつに殺されかけたんやぞ」


憮然とした顔が目に浮かんだ。

でも、だったら、なぜ?


「西条さんは、てっきり桂木さんをクビにするもんやと思ってました」


正直にそう言うと、不機嫌なトーンのまま、声が返ってくる。


「あー? 富樫にはもう金返したから安心せえ。くっそ、カードで引き出したことバレたら、嫁さんとケンカやねんぞ」


ぼやいている口調は、いつもと変わりないんやけど。

でも、奥さんとケンカまでしてお金をおろして、それを富樫さんに返して約束をなかったことにして……、西条さんは桂木さんを辞めさせなかったんだ。


「ほんで、どないすんねん、お前とこの店長」


もう一度、西条さんはそう聞いた。


「どないするって?」

「今、オレの店に来てるぞ、桂木」


ええっ?


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