流れ星スペシャル
ホールへ出て、開店前の準備に加わる。
うるるんがスティックの掃除機をかけているから、わたしはテーブルを拭いたり、卓上のソース類を補充したりした。
掃除が済むと厨房へ入り、下ごしらえを手伝う。
「そのカップにラップを敷いて、ご飯を量って入れてって」
シャカシャカとキャベツを刻みながら、トシくんが指令を飛ばす。
残りご飯をチャーハン一人前の分量ずつ、茶巾絞りのようにラップにくるんだ。
「それが済んだら、十合炊いて」
「は~い!」
野菜を洗ううるるんの横へ行き、お米をとぐ。
「店長、ビールサーバーのセットお願いします」
「はいよ」
厨房を仕切っているのは相変わらずトシくんで、みんながそれに従う感じ。
でも……。
「なんかトシくん雰囲気変わったな。桂木さんのこと店長って呼んでるし」
うるるんにそうささやくと、うるるんも大きくうなずいた。
「やろ? いつのまにか敬語使ってんねん」
そこへ、ちょうど出勤してきたユースケくんが加わった。
「知らんの? ボクもトシさんも、桂木店長についていくって決めてんで」
「え、トシも? 何で? いつから?」
うるるんが食いつく。