流れ星スペシャル


「そこ! 口じゃなくて手を動かせっ」


すかさずトシくんの大声が飛ぶ。


「やっぱ厳しいっスね、うちの司令塔は」


と、ユースケくんが持ち場へついた。


ガシャーン、とそのときお皿が割れる音がして、振り返ると桂木さんがあわてている。

わ、また……。


「またっスか? 店長はデカいのに動きが雑やねん」

「ゴメン」


尖るトシくんの言葉に素直に謝る桂木さん。


「まー、トシの敬語なんてあの程度やけどな」


うるるんが小声でささやいた。


「ふふ。敬語なん、あれ?」


ふたりして笑ってしまう。


それからお米をジャーにセットして、ポンとスイッチを押したところで、トシくんに話しかけられた。


「なー、アズ。あれは何なん? 前から気になってたんやけど」

「あれって?」


トシくんの視線をたどると、桂木さんがほうきとチリトリを持って、割れたお皿を片づけている。


「見ててな、絶対拝むから」

「拝む?」


桂木さんはチリトリに集めた欠片をワレモノ用のゴミ箱に捨て、それからそのゴミ箱の上の棚にある貯金箱にお金を入れた。

食器を割ったら100円払う罰金ルールのやつ。


< 260 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop