流れ星スペシャル


そのあと桂木さんは、トシくんの言うとおり両手を合わせて頭を垂れた

確かに何か拝んでいるように見える。


「あの人、食器割ったら、いっつもあーして拝むねん。あの貯金箱、おさい銭かなんかと間違えてるんやろか?」


トシくんが怪訝そうに聞いた。


「ん~、役目を終えたお皿にご苦労様って、手を合わせてるんとちゃうかな?」


想像すると、そんなところ。


「え~、自分で割ったくせに?」


トシくん的には納得できない様子。


「じゃなくて、厨房の神様に謝ってるんじゃないでしょうか? 道具をムダにしてすみませんって」


ユースケくんが話に加わった。


「そうそう。これからは気をつけますから見守っていてくださいって、祈ってるんよ」


うるるんもこっちに来て、そううなずいた。


「厨房の神様? 誰それ?」


トシくんの謎は深まるばかり。



「ちょっとそこ。手を動かしてな」


4人でこそこそ話していたら、いつの間にか仕事に戻った桂木さんに怒られた。


「「す、すみません」」


無邪気なうるるんだけが、ぴょんぴょんと桂木さんのところへ跳んでいく。


「ね~店長、さっきゴミ箱に向かって手を合わせてたけど、あれは何か祈ってたん?」


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