流れ星スペシャル


「あ、以上です」


そうして顔をあげると、桂木さんは話を締めくくった。


「えっ、返事聞かんの?」


トシくんがポカンとする。


「いや、沢井さんにも都合があるし、急には答えられへんやろうから、いっぺん考えてみて下さい」


なんて桂木さんはものすごくのんきなことを言った。


「急って……もう何日手伝いに来てると思ってんのよ」


思わず低い声が出る。


「え、」

「そんなこと考えてるんなら、なんで早く言わへんの? わたし要らんのかと思って、悲しかったんやから」

「あ、いや、会社からは誰も連れて行かないって、前に宣言してしまったから言いにくくて」


桂木さんは鼻の頭をポリッと掻いた。


「だいたいね、桂木さんって何を考えてるんかわかりにくいねん。

もう店長さんになったんやから、そういうとこ直したほうがいいと思うわ。スタッフにもお客さんにも、気持ち伝えてなんぼでしょ?」


そのわかりにくさのせいで、わたしがどんだけ悲しい思いをしてきたことか。


< 279 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop