流れ星スペシャル
「あ、以上です」
そうして顔をあげると、桂木さんは話を締めくくった。
「えっ、返事聞かんの?」
トシくんがポカンとする。
「いや、沢井さんにも都合があるし、急には答えられへんやろうから、いっぺん考えてみて下さい」
なんて桂木さんはものすごくのんきなことを言った。
「急って……もう何日手伝いに来てると思ってんのよ」
思わず低い声が出る。
「え、」
「そんなこと考えてるんなら、なんで早く言わへんの? わたし要らんのかと思って、悲しかったんやから」
「あ、いや、会社からは誰も連れて行かないって、前に宣言してしまったから言いにくくて」
桂木さんは鼻の頭をポリッと掻いた。
「だいたいね、桂木さんって何を考えてるんかわかりにくいねん。
もう店長さんになったんやから、そういうとこ直したほうがいいと思うわ。スタッフにもお客さんにも、気持ち伝えてなんぼでしょ?」
そのわかりにくさのせいで、わたしがどんだけ悲しい思いをしてきたことか。