流れ星スペシャル
「は? あいつ、何やってんねん」
トシさんもアズちゃんもボクも、テーブルの向こうの光景に、ただポカンって感じで固まっていた。
「うる、いい加減にしとき」
店長がうるるんの手を振りほどいて体を離す。
「もー、ノリ悪いなぁ、店長は」
「オレ……こういうのキライやねん」
「あっそ。じゃー勝手にするもんっ」
言うなりうるるんは身を伸ばして、店長の唇に……、
なんとホントにキスをした!
「やめろっ」
次の瞬間、店長が腕を振りあげ、うるるんを跳ねのける。
「汚いマネすんな……っ」
さらに大声で怒鳴りつけた。
パッキーンと、空気が凍りつく。
店長に振り払われた拍子に尻もちをついたうるるんは、座敷にそのままの形で固まっていた。
呆然と店長の顔を見あげるその瞳は、じわぁっと潤んできて……。
「ちょっと何してんのよ、アホッ」
アズちゃんが立ちあがり、トシさんを踏んづけて、向かいの席へと飛んで行く。
そうして、あわてて立ちあがった桂木店長の頬を、ピシャッと一発ビンタした。
「あほちゃう? こんなに若くて可愛い女の子にキスされて、突き飛ばすとかありえんへんやろ」
「い、いや、突き飛ばすつもりは……」
「なくても突き飛ばしてるやん」