流れ星スペシャル


アズちゃんの勢いは止まらない。


「そのうえあんな大きな声出して怒鳴りつけるなんて、信じられへん。

だいたいキスされたくらいで、ええオッサンが何? 純情な小娘じゃーあるまいし。ノリやんかノリ。わかる?」


アズちゃんが大声でまくしたてるから、ボクらの席には店中の視線が集まっていた。

言うだけ言ったらアズちゃんは座敷にひざまずいて、ガバッとうるるんを抱き締める。


「アズちゃん……」


うるるんもギュウッとアズちゃんにしがみついた。


「可愛い。うるるん、大好きよ」

「うちも、アズちゃん大好き……」


なんか、ふたりとも泣いてる……?


「アズも相当酔っぱらってるからなー」


とトシさんは一言で済ませた。


「……ゴメン」


店長がぽつんと謝る。誰にともなく。


というわけで続行不能となり、流れ星初の懇親会はお開きとなった。





「なんかすごい会になったな」


帰りのタクシーの中でトシさんがつぶやいた。

うるるん、アズちゃん、の順に送り、ボクは大学へ行く時間までトシさんの家で過ごさせてもらうことになっていて……。


「アズちゃん、結構飲んでましたよね」

「あー。桂木さんも酔ってたんかな……」


店長は始発までどこかで時間をつぶすらしかった。


「タク代くれたで、桂木さん」

「せっかく企画してくれたのにゴメンな、って言われました」

「……意味わからんな~」


お互いに、いつもとはちがった店長の様子が引っかかっていた。


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