流れ星スペシャル


翌日、うるるんの入りは19時だった。


「おはようございます」


ユニフォームに着替えて出てきたうるるんは、トシさんやアズちゃんのいる厨房の手前で小さくあいさつをしたきり、スッとホールへと向かった。

奥にいた桂木店長をスルーして……。
いつもなら一番大きな声であいさつするくせに。


「うる、おはよう」


気をつかったのか、店長のほうから声をかけていたが、それも完全スルー。


「あ~あ」


険悪なムードに、トシさんと目が合う。


仕事中もずっとそんな感じで、うるるんは店長とは低~くダークな声で必要最低限の会話しかしなかった。


「お前なぁ、態度に出し過ぎ。こっちがやりづらいわ」


焼き場にちりとりを置きに来たうるるんを、トシさんがたしなめる。


「は?」


と、うるるんは臨戦態勢。


今日は裏に回ってサイドメニューを担当している店長をあごで指しながら、トシさんが言った。



「桂木さんも気にしてるやん。もうカンベンしといたれや」

「何が?」


うるるんはキッと、トシさんをにらむ。


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