流れ星スペシャル
「ゴッメ~ン、沢井さん! どうしても今日中に回したい精算があるねん、急に課長に言われてな」
夕方、外回りから戻ってきた営業1課の社員が、困り顔で飛んできた。
「ああ、中村課長から聞いてますよ」
「ゴメンゴメン。ほんまゴメンなぁ」
「でももっと早くに状況わかりません? 自分の課がどんだけ利益出てるかとか」
「ホンマやな、悪いなぁ…。ゴメンゴメン」
「上にハンコもらってからになりますから、出金したら声かけますんで取りに来てくださいね」
「うん。助かるよ、ホンマありがとう、ゴメンなぁ。ゴメンゴメン」
う……。口先だけのパターンのやつや。
言葉が軽すぎて、こっちの手間なんて何とも思ってないことが、バレバレやねんから。
「あー、あと桂木も精算残ってるんやけど、あいつちょっと遅くなりそうやねん」
こちらの思いにはまったく気づかず、その人はそうつけ加えた。