流れ星スペシャル


「そもそもお前がヘンなモードで迫るから、おかしなことになったんやろ?」

「は? ウチのせい?」

「感じ悪いねん」

「どっちが? うちはあの人に『汚い』って言われてんで。『汚い』って」

「それは、言葉のはずみ」

「思ってるからはずみで出てくるねん。ウチのこと汚いって思ってるから、あーゆー言葉になるんやん……っ」


どうやらうるるんは、キスを拒絶されたことよりも、突き飛ばされたことよりも、店長に『汚い』と言われたことのほうが、胸に刺さっている様子……。


「あれは別にお前やから言ったってわけじゃなく、桂木さん的にはノリでキスするような行為そのものが……」



「結局、富樫さんらと一緒やん」



言いかけたトシさんの言葉を切り捨てるように、うるるんが呻いた。


「ウチは服装もメイクも派手やし、おへそも出すよ。だからいっつも軽く見られる。

男好きで、男やったら誰とでもヤるとか、よう富樫さんにネタにされたわ。でもウチ……そんなんちゃうもん」


そう言うとうるるんは、ギュッと唇を嚙んだ。


「知ってるって」


トシさんの声も少し穏やかになる。


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