流れ星スペシャル
「けど店長、大丈夫……?」
奥さんとのことを心配して、うるるんは聞いたんだと思う。
「うん。あとはハンコをついて、届を出すだけ、かな」
「え、離婚?」
「たぶんそうなる。
オレな、流れ星勤務になって家を出たから。今はナンバで部屋借りて、ひとりで暮らしてる。どうせ電車のある時間には帰られへんし、いい機会やったしな」
少しだけ笑顔を作って、店長は言った。
「えー…、全然知らんかった」
「誰にも言ってないもん。今うるるんに言うのが初めて」
「そんな大事なこと、ウチに打ち明けてええの?」
不安げなうるるんの質問に、店長は当たり前のように答える。
「ええよ。うるは、人のそういうことをバカにする子やないもんな」
その言葉に、うるるんの目がまた潤み出す。
「店のみんなには? 黙っとく?」
「いや、言ってくれてええよ。会社では見栄張って幸せですって顔してたけど、店のみんなにはカッコつける必要ないしな。
オレの底が浅いことなんて、もうバレてる」
と、店長は照れくさそうに笑った。