流れ星スペシャル
「あっ、」
「え」
「中村課長……!」
うるるんがキモがっていたお客様は、なんと営業一課の中村課長だった。
もうひとりは、たぶん……取引先の人? 見覚えのある顔だ。
「さっ、沢井さん」
「中村課長、来てくださったんですね。お待たせしました、流れ星スペシャルです」
「お、おう」
鉄板に大きなお好み焼きを乗せ、火力をカチッと強火から保温状態にする。
「これね、桂木さんが 焼いたんですよ」
「こ、これを、桂木が……」
うるるんが言ってた通り、涙ぐむ中村課長。
「立派やなぁ。上手に出来てる」
と同席の男性も目頭を押さえた。
「こちらはウエスギ工業の上杉社長や」
あ、確か桂木さんの担当の……。
「いつもお世話になっています」
あいさつをしていたら、横にトシくんがやってきた。
「何かあった?」と、低くささやく。
うるるんの話を気にして、様子を見に来てくれたみたい。
「ううん、会社の人が来てくれて……。桂木さんの上司だった中村課長と、取引先の社長さん」
と紹介した。