流れ星スペシャル


「今日はキミに謝りたくて、中村課長に連れてきてもらったんや。世話になったのにこんな目にあわせて……ゴメンな、桂木くん」


床に額をこすりつけるようにして、声を詰まらせる上杉社長。


「え、ちょっ、やめてください社長。そんなんじゃないんです」


桂木さんは大慌てでそれをとりなしていた。


「社長さん、とりあえず席に着いてください」


トシくんが柔らかな物腰で、上杉社長の背に手を添える。

確かに、お客様が土下座しているのは、店としては具合が悪い。


「さ、桂木の焼いたお好み焼きを食べましょう」


中村課長にそう言われ、トシくんに支えられながら上杉社長はよろよろと席へと戻る。


「仕事のほうは何とか持ち直して、細々とやってんねん」

「よかった! それは何よりです」


上杉社長の報告に、桂木さんも立ちあがり、とてもうれしそうにそう言った。


「キミにはつらい思いをさせてしまって、本当にすまなかった」


席に着いてからも、上杉社長は深々と頭を下げる。


「いえ、そんな……。ここに配属になったのは、そういう理由ではないんです。それに、つらくなんて全然ありません!」


と、なぜか桂木さんは、途中からトシくんのほうを向いてそう断言した。


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