流れ星スペシャル
「キャー、沢井先輩。アズとか呼ばれてる~」
「ずる~い! トシくんなんて呼んでるし」
いやいや。
単に呼び捨てにされてるだけやから。
「あの……、トシくんがホストしてるお店って、どこなんですか? 名刺あったら欲しいんですけど」
おお、なんとミユちゃん、本気で切り出した。
しかももう『トシくん』って呼んでるし。
「ホストクラブって、いっぺん行ってみたいけど、知らないとこだとやっぱ怖くて」
「そうやねん。どの店に行ったらいいかもわからんしなぁ」
「ぶっちゃけ、お金って、いくらぐらいかかります?」
ミユちゃんだけでなく、みんなでトシくんを質問攻めにしている。
「やっぱホストさんからしたら、OLなんてしょぼい客なんでしょうか?」
「お金持ちのマダムとかじゃないと、ちゃんと相手にしてもらわれへんの?」
えー、なんかみんなマジ過ぎるぞ……。
「すみません」
そんなみんなの質問を避けるように、トシくんは頭を下げた。
「オレ、名刺持ってないんです。もうほとんどこっち勤務で、店には出てないですしね」
「えーっ。じゃあ、店の名前教えて」
「えっと…………、忘れた」
プ。
「「なわけないやん!」」
トシくんがしらばっくれたので、みんなに即突っ込まれる。