流れ星スペシャル
「ウチらに来てほしくないんですか?」
後輩が悲しげなウルウル光線を送った。
「そうじゃないけど……」
トシくんは鉄板の上に視線を戻して、言葉を切る。
「本気で興味あるんスか、ホストクラブ」
逆にポソッと質問を返してきた。
「うん、楽しそうやもん! ホストクラブくらい今は誰でもフツーに行くでしょ?」
うんうん、とみんなが力強くうなずく。
「フツーじゃなくなること、結構多いっスよ」
トシくんは顔をあげて、みんなの顔をスイ~ッと眺めた。
「え?」
「OLさんやったら貯金があるでしょ? それを全部使い果たして、そんでも遊びたいから夜のバイトを始める、……ってパターン」
「へぇ……」
「結局、朝起きられんくなって、稼ぎも夜の方がいいし、会社辞めてそっち本職にして、ホストクラブに通い続ける……なんて子、オレはたくさん知ってますよ」
「ふぅ……ん」
「そう仕向けていくしょーもないホストは腐るほどおるし」
「だ、大丈夫! 1回行ってみたいだけで、ハマる気はないもん」
ミユちゃんが手をグーにしてそう言うと、他の3人もまた大きくうなずいた。
「なら、いいですけど」
とトシくんはクスッと笑う。