流れ星スペシャル
「ただ……相手はプロやからなぁ。試しに一回だけ、なんて思ってても、また行きたくなるように出来てんねん」
なんて独り言みたいに付け加える。
う~む。
「ホストクラブ通いなんかせずに、フツーに恋愛してくださいよ。4人ともめっちゃ可愛いねんから」
それからそう言うと、トシくんはカウンターに並ぶみんなにニコッと笑いかけた。
「「ひゃ~」」
みんな途端にポーッとなって、ざわめきだす。
「スゴイな、トシくん」
ずっと黙って聞いていた桂木さんがボソッとつぶやいた。
確かに。
「でもな、なんかトシくん、他人事みたいに言うてるけど、自分がそういうことしてるってことやろ? 女の子を夢中にさせて、お金巻き上げてるってことやん」
わたしが抗議すると、休まずに動いていたトシくんの手が、一瞬止まった。
鉄板から視線を外し、顔をあげたトシくんと目が……、
合わずにトシくんは、ガラスの手前に置いてある出汁のポットに手を伸ばした。
「そ-やで、オレ、そーゆー人間」
トシくんはそう言いながら、お好み焼きの横で焼き始めた焼きそばに出汁をかけ、パコッとアルミのフタをかぶせる。
「ホストってそーゆー人種やもん。サイテーやろ?」
怒っているんでもふざけているんでもなく、抑揚のない声でトシくんはそう言った。