流れ星スペシャル
「う~ん、店長にはわからんかも」
「男の人やからね」
と言いつつ、ふたりして教えてあげる。
「なんかな……セクシーやねん」
うるるんが言った。
「スッゴイ無口で……」
「そう。でも不機嫌ではない」
「うん。優しいよな?」
うるるんと確認しあう。
「で、いつもならキレられそうなことを言っても、全然怒らへんし」
「何か話すと、ニコニコって笑ってくれる」
「えーと、それは、二日酔いとはちがうん?」
黙って聞いていた桂木さんが怪訝そうに聞いた。
「う~ん、そうかもしれんけど……。でも、少なくとも普通のおっさんの二日酔いとは、全然ちがうな」
堂々と言い切ったうるるんに、桂木さんがつぶやいた。
「ゴメンな、普通のおっさんで」
プフフ。
「試しに店長、トシに水入れてあげて」
「水?」
「うん。水!」
というわけで、桂木さんは段ボール箱を抱え、わたしたちは掃除道具を片づけに、厨房へと戻った。
それから桂木さんは冷水機のレバーにグラスを当てて、水を満たす。