流れ星スペシャル
その日の深夜。
仕事あがりに桂木さんが、トシくんに声を掛けた。
「トシ。休みの日、ホストクラブで働いてるんやて?」
「あ、はい」
「せっかく休みが取れるようになったのに、体キツないか?」
桂木さんは穏やかに聞いた。
「や、大丈夫です」
「ならええけど……。何か事情があるんかな?」
「え?」
「金が要るとか」
そう。それはわたしも知りたいところだった。
トシくんがそこまでしてホストを続ける理由がわからない。
「そのクラブの代表に、ちょっと義理があるんで……」
「借金か?」
普段なら人のプライベートにあまり立ち入らない桂木さんが、いつになく切り込んでいく。
本気で心配しているんだろう。
「ええ、まぁ……」
と、トシくんは言葉を濁した。
「こっちには迷惑かけんようにしますんで」
なんて話を切りあげる。
「何かあったら、相談して来い」
そんなトシくんに、桂木さんはそう言った。