流れ星スペシャル


そして次の日――。


休憩をもらって事務室へ引っ込んだはずのうるるんが、ビュンッと速攻で戻って来た。


「アズちゃん、ちょっと」


厨房の隅っこから手を振り、おいでおいでをしてくる。


「何?」


そう聞きながら近づいていくと、うるるんは大事そうに合わせた両手を、そ~っと開いてわたしに見せた。


「ジャーン」


あーっ!

大声をあげそうになって、自分の口を手で押さえる。


「これ、トシくんの?」

「うん。事務室で拾ってん」


それは一枚の名刺で、マットな黒地に白抜きで


「 DIAMOND DUST 

   TOSHIYA 」


と印刷されていた。

間違いなくホストクラブの名刺だ。


「わー、住所もちゃんと印刷されてる」

「うん、宗右衛門町やで」


おー……。


「行こう、アズちゃん!」

「うん。行こう!」


来週火曜、トシくんの勤めるホストクラブへ行くことが、即決!


「トシには絶対内緒な」

「うん。バレたら殺される。知られる前に実行しよう」


うるるんと固い約束を交わして、わたしたちは忍者のごとくスッと身を離した。


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