流れ星スペシャル


そして迎える火曜日――

ついにⅩデーがやってきた。

うるるんとふたりで、トシくんのホストクラブに奇襲をかける日。

トシくんに漏れないようにと、念のため店の誰にも打ち明けずにこの日を迎えた。


だって事前にバレると阻止されそうだけど、来店さえしてしまえばこっちのもんだから。

いくらトシくんでも、お金を払って入店したお客様に、ブチ切れたりとかできないだろーし。


ムフフ。素敵なホストぶりをたっぷり楽しませてもらいましょう!

な~んて。


それにトシくんがいない日はラストまでとなる流れ星の勤務も、今夜はちょっと早くあがれた。

ユースケくんと新人の松田くんが、同級生とオールで遊ぶ予定があるとかで、ラストまで残ってくれることになったから。




そうして日付も変わり、水曜日となった午前0時半――

うるるんとわたしは、今ミナミの街のど真ん中にいる。


「スゴイな……」

「う……ん」


トシくんの名刺に載っていたホストクラブは、スマホで検索するまでもなく、すぐに見つかった。

どっかのビルの片隅で小洒落た感じでやっていると想像していた店は、どうやらかなりの有名店だったらしい。

一番賑わう通りに面した大きなビルの一階に、デーンと店を構えていた。

『DIAMOND DUST』と金色に施された立体文字が、黒光りする外壁にきらびやかに輝いている。


「ダイヤモンドダスト……か」


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