流れ星スペシャル


入り口付近にはホストたちの写真のパネルが、ずらりと大きく飾られていた。

どの写真もカメラ目線で、モデル並みのポーズをとっている。

ふわっと優しげに微笑んでいたり、髪をクシャッとかきあげていたり、こっちを軽く睨んでいたり。


「うわ、結構クオリティ高いなぁ」


一番左の1枚が他のパネルの倍ほど大きい。

次の2枚も少し大きいから、人気トップ3ってとこかな?。


「ウチ、この人がいい!」

「え~、うるるん、まさかのワンコ系?」

「アズちゃんは?」

「わたし、この人もろタイプ!」


な~んて、うるるんとふたりしてハイになるが……。


「あれ……? おらんなぁ、トシくん」


ひととおりチェックしたけれど、そこにトシくんの写真はなかった。


「ほんまやな。こんなとこで決め顔してるトシを見つけたら、マジウケるんやけど」


なんてうるるんはつぶやいた。



「なーなー彼女たち~、遊びに来てくれたん?」


不意に横から声がかかった。

お。黒服のこの人は、この店の呼び込みのホストさんか?


「げ、ブスやん」


うるるんが小声でささやく。

ん、確かに……。


細い目、出っ歯、顔のパーツはかなり地味なのに、ブリーチした金髪だけが華やかすぎてヅラにしか見えない。


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