流れ星スペシャル
「ト、トシヤくんって?」
「15歳からホストやってて、昔うちでトップ張ってた人」
「じゅ、15って、違法やん!」
「もちろん18歳ってことになってたんやろうけど……。昔のことやし、オレもよくは知らんけど」
うるるんと顔を見合わせた。
「トシヤくん昔はスゲー売り上げてたらしくて、今でも記録を破られへんって、幹部の人が言うてた」
「えっと、い、今は?」
「今はオレのほうが断然勝ってるよ」
とホストさんは笑った。
「だってトシヤくん全然やる気ないねんもん。もう辞めたんかと思ってたら、いつのまにか戻ってきて、火曜日だけ入ってんねん」
やっぱ、それはトシくん……?
「その人、今夜も出てますか?」
「うん、来てる。客も火曜限定って知ってるからさ~、今夜はトシヤくんの客ばっかで、オレはあがったりやねんな」
グチってる言葉にはそぐわないキレイな笑顔で、ホストさんは肩をすくめる。
「二部も出るかな、その人」
横からうるるんが聞いた。
そうだ。確かめとかなきゃ。
「いや、トシヤくんは一部だけやで。あの人二部まで残るような熱意ないし」
そう言い切ると、ホストさんはスーツの胸ポケットから名刺を2枚取り出した。