流れ星スペシャル
「はい。また会えるといいな。指名してくれたらマジうれしい……」
うるるんとわたしにそれを1枚ずつ手渡して、甘めの視線を絡める。
それから「じゃあね~」と手を振って、ホストさんは店の中へと戻っていった。
「おー……、ヤバいヤバい。やっぱナンバーワンはちがうな」
「ええ匂いやった、あの人……」
ポワンとしていると、うるるんにガッと腕をつかまれた。
「ヤバい、アズちゃん。いったん退避」
「えっ?」
道路のほうまでグイグイ引っぱられていく。
「ど、どーしたん?」
「トシ、出てきた! 今見つかったらアウトやろ?」
「え~っ」
とりあえず通りを挟んで向かいのビルまで走った。
ジュースの自販機の横に行きついて、わたしたちは店を振り返る。
「え、どの人?」
よし。バレずに確認できる距離。
「あれあれ。あの白いジャケット着てる女の人の奥」
もうすぐ閉店だからか、帰る客と見送るホストが何組か、店の前で入り混じっていた。
あ!
あれだ、トシくん。
「な」
「うん」
いつもと雰囲気が全然ちがうけど、でもきっとそう、あの背の高さとか、体格とか……。
あれは絶対トシくんだ。