流れ星スペシャル
「締めましたよね、もう」
桂木さんは気まずそうにわたしを見下ろしている。
「あー、中村課長から聞いてますよ。どれ?」
「これ、丸宮電機との会食6名です」
差し出された領収証には、取引先名、参加者氏名、商談内容が書かれた伝票が留められていた。
一度回して突き返されたのか、もう中村課長のハンコが押されている。
「うどんすきの卯々屋 35,640円。これが来月に回るとそんなにも不都合かなぁ?」
思わずつぶやいてしまった。
「ほんまですね」
桂木さんも、ちょっと困ったように笑う。
「ま、課長命令ですもんね。いいなー、わたしも食べたい、うどんすき」
話題を変えてそう言うと、思いがけず明るい声が返ってきた。
「今度みんなで行きましょう」