流れ星スペシャル


「それにトシくん、店で自分がどういうキャラか自覚ないの?」

「オレ?」

「いつもす~ぐキレるから、めっちゃ恐いねんで? その人が突然、スーツ姿に香水振って、女の子に優しくキスとかしててみ? 衝撃的やし」


思わずそう言ってしまった。


「えっ、キス?」

「あ、いや、そ、そこは想像やけど……。でも、いつものトシくんじゃないみたいで、ちょっとイヤやった……かな」


と本音をつぶやいた。


「な~んや。オレ、アズに嫌われたんかと思った」


そう言ってトシくんは、いつものあどけない笑顔になった。


「は? わたしに嫌われたって、全然へっちゃらなくせに」

「いやいや、アズに嫌われたら、もうあの店では、やって行けんでしょ」

「ウソばっかし!」

「ははは……」


めっちゃ笑ったトシくんの横顔は、今日見たホストの中で一番ステキだと思った。


ん……?

あれれ?


よく見ると、トシくんの首にも耳にも、光りものがなくなっている。


「え、アクセサリー外したん?」

「あー……」


トシくんがちょっと気まずそうに鼻の頭を掻いた。


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