流れ星スペシャル
うわ、わたしのせい……?
自分が発した心無い言葉に傷つき、もしくは腹を立てて、さっきひとりで歩きながらトシくんはそれを全部外したんだ……。
そう思うと、自分の大人げない態度が、いよいよ情けなくなってくる。
「ゴ、ゴメン! ほんまはスゴク似合ってたんよ。ピアスもネックレスも」
いわれもなく年下の男の子に意地悪をしてしまった罪悪感で胸が痛い。
「いや、自分が外したかっただけ……。外すとホッとするから」
だけどトシくんは、ポソッとそう言った。
「あーゆーのは全部お客さんからのプレゼントやねん。香水もアクセサリーも、先週もらったから今日つけてっただけ」
「そっか。プレゼントしたものを身につけてくれたら一番うれしいもん。マナーやんな」
そううなずいたら、トシくんは一瞬チラッとこっちを向いた。
それからまた前を向き、吐き捨てるように言う。
「ちがう。オレ商売やから、これ」
「商売?」
「客に媚びて、気に入ってもらって、また店に来てもらって、金を巻きあげていくシステム」
「でも、みんな好きで来てるんやし……」
「そーゆー気持ちにさせていくのが、ホストの仕事やん」
トシくんはそのまましばらく黙ってしまった。
その隣を歩きながら、わたしは今夜ホストクラブの前で見た光景を思い出していた。
「桂木さんは……キレイな人やな」
不意にかすれた声がそう言った。
「え?」
「アズが惚れんの、わかるわ」
トシくんは夜空を少し仰ぎながら、ポツンとそうつぶやいた。