流れ星スペシャル
開けて水曜日――。
「ちょっとトシ! シャキッとしぃや、忙しいねんから」
厨房にうるるんの声が飛ぶ。
「あ、うん。ゴメン」
キャベツを刻みながら、しょんぼりと見えるトシくんを横目に、桂木さんがささやいた。
「どうしたん、今日は水曜日やで? トシに優しくせぇへんの?」
「店長、あれはただの二日酔いやから、お構いなく」
きっぱりとうるるんが言い切った。
そう。
ホスト状態のトシくんを見たいという、うるるんとわたしのブームは完全に去っていた。
だってあんなに謎めいて見えた水曜のトシくんも、実際にその上をいくホストバージョンのトシくんを見てしまったら、もうどうでもよくなる。
わたしはあのあとトシくんと話せたから、なんとなく立ち直れたけれど、うるるんはあのキスシーンでブッ飛んだままの状態だから……。
優しくするどころか、むしろトシくんにつらく当たっていた。
「どうした? うるに怒られたんか?」
桂木さんだけは相変わらず水曜日のトシくんに優しく接している。
「水飲むか?」
なんて、構ってあげていた。フフ。