流れ星スペシャル


今からダイヤモンドダストへ乗り込んで直談判する。


その決意を胸に、トシくんの手を引っ張ってズンズン突き進んだ。


そりゃわたしだって、あの『代表』って人が相当ヤバそうだって、察しはつくよ。

だけど、せっかく『辞めたい』って言ったトシくんを殴りつけて脅すなんて、最低過ぎる。

このまま泣き寝入りしていたら、いつまでたっても、トシくんはホストを辞められない。


そんな考えが頭を支配している。


だいたいトシくんも大人びて見えるけれど、全然子どもやん。

あの調子じゃ、怪しい書類にうっかりサインさせられている可能性だって十分にある。

ここは近くにいる大人として、わたしがしっかりしなくっちゃ。


「さっきから、何をブツブツ言ってんねん?」


案外素直に手を引かれてついてくるトシくん。


「別に」


説明したらトシくんは、この手を振りほどいて帰ってしまう気がしていた。

わたしをトラブルに巻き込む気はないだろうし、『あいつはそんな簡単な相手じゃない』とか言いそう。


でも、こういうのは早いほうがいいと思うんだ。

今の今なら、暴力をふるわれたことだって証明できるし。


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