流れ星スペシャル
「ユースケ、今日11時半までイケる?」
もうすぐあがりのユースケに聞いてみる。
「イっすよ。終電、間に合いますし」
「じゃー店長、今から休憩行ってください」
きっとリカコさんと話があるんだろうし、ユースケが帰るまでに戻ってきてくれたら回せるぐらいの客の入りだった。
「悪いな、忙しいのに」
桂木さんはそう言い残して、一旦事務所に引っ込む。
で、上だけ着替えて出てくると、カウンター席のリカコさんの隣に座った。
「もうめんどくさいし、ここで書くわ。忙しくなったら呼んで」
「え、でも、」
込み入った話になるなら遠慮なくどこか外で……と思ったけれど、桂木さんはホールを見渡して、テーブル席の空きを確認して言った。
「混んできたら、どくから」
「あ、はい」
リカコさんはもうほぼ食べ終わっていて、ふたりでソフトドリンクを追加する。
「慎ちゃん、印鑑持って来てくれた?」
さっきまで泣いていたリカコさんは、隣の桂木さんを見あげて、ケロリと聞いた。
「うん」
素直に返事をして、桂木さんは早速用紙に記入し始める。
「も~慎ちゃん、もっとキレイな字で書いてよ」
「うん」
「そこ住所やん。名前はこっち」
「あ、ゴメン」
「大丈夫大丈夫。訂正してハンコ押しといてね」
「うん」