流れ星スペシャル
そのまま、その映画を撮った監督が、新作を撮影中だという話題になった。
「楽しみですね」と彼。
「うん。秋には公開されるんちゃうかな?」とわたし。
「よし。じゃあ公開したら一緒に観に行きましょう」
わたしではなく満開の桜を見あげながら、その人は言った。
「えっ、ホンマに?」
ポカンと口を開けた顔を、黒い瞳が覗き込む。
「沢井さんがイヤでなければ」
「イ、イヤじゃないよ、別に、全然……」
「じゃあ一緒に行きましょう」
そう言われて赤くなった顔を、あの人は気づいていたのかな?
それともお酒のせいだと、勘違いしてくれただろうか?